―――モーセを救う人々―――

                                                                          牧師 白石 久幸

 

 エジプト王は二人のヘブライ人の助産婦に命じた。…「お前たちがヘブライ人の女の出産を助けるときには、子どもの性別を確かめ、男の子ならば殺し、女の子ならば生かしておけ。」助産婦はいずれも神を畏れていたので、エジプト王が命じたとおりにはせず、男の子も生かしておいた。…神はこの助産婦たちに恵みを与えられた。

 (出エジプト記1章15節〜2章10節)

 

 エジプトにヨセフを知らない王が登場します。イスラエル人は奴隷として重労働につかせられていました。しかしイスラエル人は強力になり数も増えていきました。それがエジプトにとって脅威となり王が取った政策がイスラエル人の男の子を殺すということでした。

 今日の物語は恐ろしい話ではありますが、痛快な話でもあります。それは王たるものが奴隷であるヘブライ人の、しかも女の人で、しかもたった二人に頼まなければならず、それなのにこの二人の抵抗にあって何もできないからです。ヘブライ人はイスラエル人のことです。「ヘブライ人」を使うのは外国から見て軽蔑も含んだ言い方の時です。

 二人の助産婦はどうして王の命令を聞かなかったのでしょうか。それは命がけのことです。命令を無視すれば相手は王ですから、自分たちの命の保証はありません。それでも王の命令に従わなかっ何度も聞かされたのではないかと思います。危ない所を助けられたのだ。女の人たちが命をはって守ってくれたのだ。そして成人したモーセが今度は人々を救う者となっていきます。出エジプト記はそのことが書かれています。この出エジプトがイスラエル人の信仰の原点、信仰告白の核となっていきます。だからこそ出エジプト記をじっくり読んでいきたいものです。

(2009年1月4日宣教要旨)

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